2024年3月19日火曜日

オルガニート

 クリスマスのおもちゃで大物です。音楽が鳴り、人形が動き、ランプが点灯します。


動かない、音楽が鳴らないという症状でした。音楽はオルガニートという仕組みで、オルゴールのような櫛歯をピンがはじいて音を出します。ピンは櫛歯と対になっていて、帯状のカードに空いた穴がピンを引っかけて櫛歯をはじきます。今回の原因はカード送りのパイプ状の部品が劣化して粉々になったためです。オルガニートのアッシーは売っていますがとても高価です。部品は売ってないので3Dプリンターで作製しました。

箱にあった説明
上のローラーが破損。こんな状態に

3Dプリンターで作製した部品をセットしたところ(グレーの部品)

無事音楽を奏でるようになりました。音量豊かで、軟らかく滑らかないい響きです。何でもオルガニート同好会というのもあって活動しているそうです。




この仕組みは100年以上前にヨーロッパで実用化されたディスクオルゴールが元になっています。それは金属の円盤に穴が空いていてピンをはじくのですが、オルガニートは紙の帯を使っています。これはサンキョーが開発したもので、今でも作っています。紙に自分で穴をあけ、オリジナルの曲を演奏させることもできます。


オルガニートの故障はこれまでにも見たことがあります。両方とも同じ部品の劣化が原因でした。他の部品はしっかりしていて、この部品が手に入りさえすれば比較的簡単に直ります。

今回は人形の動きも悪いため、点検しました。ギアの交換で動くようになりました。ところで、驚いたのはシャフトの軸受けです。プラで押さえてはいるものの真鍮のブッシュが全ての場所に使われていました。使い捨てとは違うレベルを感じました。







2024年3月17日日曜日

ポケモンクレーンゲーム バケット上下動の仕組み

 ポケモンクレーンゲームでバケットの開閉が不安定という故障でした。


故障原因探しをきっかけにバケットの上下動と開閉の仕組みを分析してみました。推測も含んでいます。

1,バケットのパーツ


2、鎖の張力で開閉をコントロール

 2-ⅰ鎖  鎖aは①の穴を通って④に固定されている 鎖bは①に固定されている


 2-ⅱ バケットが閉じる仕組み  鎖aでぶら下げ(張力がかかり)、bは緩んでいる。す    
    ると、図のようなバランスを取ろうとするためバケットは閉じる。(図は右半分の
    み)



 2-ⅲ バケットが開く仕組み  aは緩み、bでぶら下げる(張力がかかる)。すると    
    今度は下図のようなバランスを取ろうとするためバケットは開く。



3,張力(ぶら下げ)のコントロール

  上記から、張力によってバケット開閉をコントロールしていることがわかった。ではど 

  うやって張力をa、bに振り分けているのか?しかも上昇下降に連動して

 3-ⅰ プーリーの役割と回転方向  プーリーは2つある 写真の通り

 3-ⅱ プーリーの仕組み(推測) プーリーaはシャフトに固定されており、bはフリー。
    aの回転方向(=バケット上下動)によって張力を変える工夫があります。まずは、 
    プーリーの仕組みから(推測) bには溝が切ってある。aにはピンが立ててある。
    2つが重なり、ピンは溝に嵌まる。また、bには緩いブレーキがかかっている。

    

    *実物はbにピンがあり、aの方が溝になっていました
 3-ⅲ aの回転方向と張力の分岐

    図の「中立」:ピンはbの溝の中央にある。鎖は両方とも張られている

    図左 aが右回転した場合:bはフリーなため最初はbに力が伝わらない。そして、

    bにはブレーキがかかっているため動かず、そのままバケットを吊り下げている。

    して、aの鎖は緩む。ピンが溝の端まで来ると(図の状態)ブレーキに打ち勝って

    aとbは共回りし、bに張力がかかったまま(bでぶら下げたまま)下降を始める。

    つまり、バケットを開いて下降することになる。


    右図 aが左回転した場合aは溝の端までバケットを持ち上げながら回転する。

    このときbはブレーキがかかっているため回転せず鎖が緩む。ここで張力の分岐が

    起きることになる。ピンが溝の端まで来るとaに張力がかかったまま(aでぶら下げ

    ながら)共回りする。これがバケットが閉じて上昇するときの状態である。

    こうして、上昇下降とシンクロして張力の分岐をおこなっている

4,ブレーキについて

  上昇下降、張力コントロールでブレーキが重要な働きをしている。緩すぎずきつすぎず

  で調整されている。

 4-ⅰ 古いタイプのもの(3段構えのモーターギアユニット)では、bのプーリーに

    リード板を当ててブレーキにしている

 4-ⅱ 今回のもの(推測)

    図のような、トルクリミッターに使われている仕組みではないか。

    bプーリーの内側に緑のようなパーツが入っていて、自身の溝でボディのツメと

    噛み合って合体している(これがはずれるとバケット開閉が不安定になる。今回の

    不具合の原因はそこにあった)



以上