2024年4月7日日曜日

オルゴールのびっくり箱

 オルゴールが鳴り、途中で人形が飛び出すびっくり箱です。

オルゴールが鳴らないということでした。



さて、どうやってオルゴールに到達するかですが、缶詰と同じ状態です。つまり、四角い筒の上下に蓋をかしめて固定してあります。お客さんと相談の上、缶切りで開けることにしました。かなり傷が残りそうです。

家に持ち帰り缶切りを出したのですが、切り口が歪むのが目に見えてためらっていました。よく考えた上で、ルーターに付ける回転式のカッターでカットすることにしました。直線にするため竹ひごをガイドにして仮固定しそれに沿って歯を滑らせました。こんな感じでカットできました。隙間があるものの、歪みがないため目立ちません。写真は修理後ビス留めした状態です。内側は厚いプラを貼り付けてそこにビス留めです。



問題のオルゴール取り出しました。


櫛歯をゴムベルトのピンではじく形です。とても優しい音がします。問題はゴムベルトが劣化し、シャフトのところが変形固化し、しかもゴムが薄くなっています。


アイデアは 1)熱湯に浸けて歪みを取る 2)ドライヤーで熱風を当てる 3)シャフトにシリコンゴムパイプを嵌める でしたがどれもダメで、窮余の策で内側にバイクのタイヤのチューブを入れたところ動くようになりました。櫛歯が干渉するため少し曲げて逃がします。ただ、ゴムが伸びて張力がかかるためシャフトにもゴムにも負荷がかかり長持ちはしないかと思います。

お客さんの話では、妹さんが同じおもちゃででよく遊んでいた思い出のものだそうで、やっと見つけたとのことでした。ちょっと気合いが入りました。

ネットで同じものを探しましたが、リメイクのものでデザインが違うものばかりでした。しかも高い!オリジナルは野村トーイで、ロンパールームの図柄です。

*お客さんに返却し、目の前で数回は音が鳴ったのですがまた動かなくなってしまいました。応急でベルトの鳴き止めスプレーを吹きかけて復活しお渡ししました。しかし、どこまで持つかは不安です。それでも昔の音を聞いてしみじみと懐かしく感じてくれました。



2024年3月19日火曜日

オルガニート

 クリスマスのおもちゃで大物です。音楽が鳴り、人形が動き、ランプが点灯します。


動かない、音楽が鳴らないという症状でした。音楽はオルガニートという仕組みで、オルゴールのような櫛歯をピンがはじいて音を出します。ピンは櫛歯と対になっていて、帯状のカードに空いた穴がピンを引っかけて櫛歯をはじきます。今回の原因はカード送りのパイプ状の部品が劣化して粉々になったためです。オルガニートのアッシーは売っていますがとても高価です。部品は売ってないので3Dプリンターで作製しました。

箱にあった説明
上のローラーが破損。こんな状態に

3Dプリンターで作製した部品をセットしたところ(グレーの部品)

無事音楽を奏でるようになりました。音量豊かで、軟らかく滑らかないい響きです。何でもオルガニート同好会というのもあって活動しているそうです。




この仕組みは100年以上前にヨーロッパで実用化されたディスクオルゴールが元になっています。それは金属の円盤に穴が空いていてピンをはじくのですが、オルガニートは紙の帯を使っています。これはサンキョーが開発したもので、今でも作っています。紙に自分で穴をあけ、オリジナルの曲を演奏させることもできます。


オルガニートの故障はこれまでにも見たことがあります。両方とも同じ部品の劣化が原因でした。他の部品はしっかりしていて、この部品が手に入りさえすれば比較的簡単に直ります。

今回は人形の動きも悪いため、点検しました。ギアの交換で動くようになりました。ところで、驚いたのはシャフトの軸受けです。プラで押さえてはいるものの真鍮のブッシュが全ての場所に使われていました。使い捨てとは違うレベルを感じました。







2024年3月17日日曜日

ポケモンクレーンゲーム バケット上下動の仕組み

 ポケモンクレーンゲームでバケットの開閉が不安定という故障でした。


故障原因探しをきっかけにバケットの上下動と開閉の仕組みを分析してみました。推測も含んでいます。

1,バケットのパーツ


2、鎖の張力で開閉をコントロール

 2-ⅰ鎖  鎖aは①の穴を通って④に固定されている 鎖bは①に固定されている


 2-ⅱ バケットが閉じる仕組み  鎖aでぶら下げ(張力がかかり)、bは緩んでいる。す    
    ると、図のようなバランスを取ろうとするためバケットは閉じる。(図は右半分の
    み)



 2-ⅲ バケットが開く仕組み  aは緩み、bでぶら下げる(張力がかかる)。すると    
    今度は下図のようなバランスを取ろうとするためバケットは開く。



3,張力(ぶら下げ)のコントロール

  上記から、張力によってバケット開閉をコントロールしていることがわかった。ではど 

  うやって張力をa、bに振り分けているのか?しかも上昇下降に連動して

 3-ⅰ プーリーの役割と回転方向  プーリーは2つある 写真の通り

 3-ⅱ プーリーの仕組み(推測) プーリーaはシャフトに固定されており、bはフリー。
    aの回転方向(=バケット上下動)によって張力を変える工夫があります。まずは、 
    プーリーの仕組みから(推測) bには溝が切ってある。aにはピンが立ててある。
    2つが重なり、ピンは溝に嵌まる。また、bには緩いブレーキがかかっている。

    

    *実物はbにピンがあり、aの方が溝になっていました
 3-ⅲ aの回転方向と張力の分岐

    図の「中立」:ピンはbの溝の中央にある。鎖は両方とも張られている

    図左 aが右回転した場合:bはフリーなため最初はbに力が伝わらない。そして、

    bにはブレーキがかかっているため動かず、そのままバケットを吊り下げている。

    して、aの鎖は緩む。ピンが溝の端まで来ると(図の状態)ブレーキに打ち勝って

    aとbは共回りし、bに張力がかかったまま(bでぶら下げたまま)下降を始める。

    つまり、バケットを開いて下降することになる。


    右図 aが左回転した場合aは溝の端までバケットを持ち上げながら回転する。

    このときbはブレーキがかかっているため回転せず鎖が緩む。ここで張力の分岐が

    起きることになる。ピンが溝の端まで来るとaに張力がかかったまま(aでぶら下げ

    ながら)共回りする。これがバケットが閉じて上昇するときの状態である。

    こうして、上昇下降とシンクロして張力の分岐をおこなっている

4,ブレーキについて

  上昇下降、張力コントロールでブレーキが重要な働きをしている。緩すぎずきつすぎず

  で調整されている。

 4-ⅰ 古いタイプのもの(3段構えのモーターギアユニット)では、bのプーリーに

    リード板を当ててブレーキにしている

 4-ⅱ 今回のもの(推測)

    図のような、トルクリミッターに使われている仕組みではないか。

    bプーリーの内側に緑のようなパーツが入っていて、自身の溝でボディのツメと

    噛み合って合体している(これがはずれるとバケット開閉が不安定になる。今回の

    不具合の原因はそこにあった)



以上












2024年2月22日木曜日

外部電源で電池ケースプラス側に繋ぐ方法

 

外部電源について。電圧電流値が測定できるものだと動作確認だけでなく、電流値や電圧の変化をみることによって内部の不具合を推定でき、便利な道具です。

この外部電源ですが、電池ケースに繋ぐ場合にマイナス側はバネや板ばねを簡単にはさめますが、プラス側の接続に苦労してきました。一時はベロのような金属板を差し込んだりしたのですが、隙間がないと難しいので難儀していました。(写真1

この問題を解決するのに、ダミー電池を使っているドクターがいたのでアイデアを拝借して紹介します。

ダミー電池は中が空洞でジャンパ線があるだけです。ジャンパ線をクリップで挟めばプラス端子につながります。閉鎖されたタイプのものだと加工が必要です。閉鎖タイプではないダミー電池なら容易ですが手に入らない場合は自作です。

写真は3Dプリンターで作ったものですが同じ大きさのものならパイプや木でも出来そうです。









4用を持っていれば足ります。単3と単2には写真の様なソケット(アダプター)が使えます。

ドクターの皆さんは既に治具を工夫されているかと思います。また、ネットで「ダミー電池」で検索すると既製品の他に自作情報もいろいろと出てきます。今回は一つの例として紹介しました。

 

ところで、外部電源は電圧電流計付きが便利ですが、電流は1mAまで測れるものが実用的です。

2024年2月5日月曜日

DC7 6301 ヨネザワ玩具製

 1950年代後半に作られたブリキの飛行機です。保存状態がいいです。

ヨネザワ玩具のロゴが印刷されています。

単1乾電池3本で動きます。滑走路を移動します。車輪が止まると、窓から見える搭乗客が引っ込み、ドアが開いて若いCAが搭乗口に姿を見せます。よくできたおもちゃです。



機体はDC7 6301です。
DC7はダグラス社最後のレシプロ機で、JALは1957年から1965年まで4機を運航しました。
機体番号6301はその1号機で、City of San Franciscoという名前でした。1957年から1962年まで就航しました。





2024年1月11日木曜日

電池受け錆を酢で洗浄

 電池の液漏れによる電池受けの錆をよく見かけます。例えば、


表面上はたいしたことないように見えます。クリーナーでかなり改善できるレベルのようです。が、しかし・・

中を見ると

交換のレベルではないです。しかし、さび取りが意外に難儀する。細かい隙間までは取りにくい。ヤスリ等で削り落としても、一時的に導通が回復しますがいずれ錆がまた広がってきます。
そこで今回は酸(ここでは酢を使っています)で洗浄してみます。ドクター仲間に教わった方法です。

洗浄の結果です。

物理的に取ったのとは違うきれいさです。裏側や隙間の錆(と呼んでいいのかは不明ですが)も取れています。この状態であれば、この後十分水洗いしてからよく乾燥し、接点復活剤を付けて再利用できます。
地金の腐食が酷いようなら交換です。

酢は数十度に温めたものを使うと早いです。また、錆の量が多いと酸が消費され、新たな酢でもう一度洗浄が必要になるかもしれません。

密閉容器に入れて持ち歩くとおもちゃ病院でも使いやすいと思います。

*クエン酸でも同じような効果が得られました クエン酸だと粉なので持ち運びが楽です