2019年2月23日土曜日

チョロQ RailStar 第2弾

以前に記事にしたことがあります。その続きです。

チョロQの名が付いていますが一般的なものとは仕組みが違っています。
ユニークで、よく思いついたなと感心します。
ほんの一時期発売されていたようです。

さて、こんなゼンマイが使われています。リールが2つあってゼンマイの片方は解放されて
います。
一般的なものは1軸でゼンマイ両端は固定されています。

組み立て時に迷いました。
AとBは右リールへの巻き込み方が逆です。どちらが正しいのか?
ちなみに、左のリールがゼンマイを巻き取るときに回転する方(時計回り)。右が巻き取
られる方。
  A
  B
正しいのはBで、S字型に巻き取っていきます。
巻き取られると元に戻ろうとする力が働いて車輪を動かします。

不思議な構造がありました。
ゼンマイとは反対側にあるこのギアは何のためにあるのか?
迷いました。

このゼンマイは片方が解放になっています。
つまり巻きすぎるとリールから外れてしまいます。
これを防ぐ仕組みがこのギアでした。

見えている方は17歯、中に隠れている方は16歯です。

そして両方のギアには出っ張りがあってその部分が噛み合うと回転が止められます。
写真は内側のギアです。
 

写真は回転が止められた状態です。内側のギアが左回転(=ゼンマイを巻く方向)しよう
にも外のギアの山に引っかかって止められています。
逆に言うとこれがゼンマイを巻き終わった状態です。

組むときはゼンマイの解放状態で組みますからギアの組み合わせを写真のようにします。

こうすると内側(ゼンマイ側)のギアが1回転するごとに外のギアは左回りに離れていきま
す。
1回転ごとに1歯ずつずれますから16回転すると噛み合うようになります。
ゼンマイが解放されていくと今度は逆に1歯ずつ戻っていき初期状態に戻ります。

このゼンマイ機構の長所は動力がゆっくり長く続くという点ではないでしょうか。
通常のものは一気に加速し後は惰性走行です。
そこが違います。

本当に感心する仕組みです。
今は見かけませんがよくできているだけに残念です。

2019年2月21日木曜日

ゲームのタイマー破損が2件続いて

ばねを使ったタイマーの破損が偶然にも2件続きました。
これは「どらえもんパズルパニック」


これは「ドキドキ!どっかーん!」というおもちゃ。


おもちゃは違うのですが、故障個所は全く同じでした。
まずはドキドキから、
タイマーの機構です。右側がゼンマイのある方。



時計と同じです。
ガンギ車とアンクルを利用しています。(左側)
壊れたのは一番力のかかる右側の部分。

右から2番目のギアの歯がえぐり取られています。


普通ならピニオンと平歯車を組み合わせて別々にシャフトに圧入するのですが、
この場合は軸に固定されてないギアです。平歯車とピニオンを固定しなくてはいけません。(シャフトに別々に固定してしまうという手もありますが平歯車の厚みが薄く十分なフリクションが得られないためやはりギア同士の固定が必要です。)
どうするか。

平歯車にピニオン型の「穴」をあけ、そこにピニオンを圧入すると滑りません。
こんな風になります。


問題はピニオン型の「穴」をどうやってあけるかです。
真鍮のピニオンギアに熱を加えてあけます。
中心を出すために1.9㎜のシャフトを立て、平歯車をセットし、
ピニオンを入れてはんだごてで加熱して穴をあけます。
(ピニオンを外すのは冷めてから)


穴が開いた状態


出っ張りをならして、圧入。


出来上がり

なお、この後1.9㎜シャフトに変更し、軸受け穴に真鍮パイプを入れて対応しました。

次はドラえもん
タイマーの核心部分。

先ほどのドキドキと同じです。
壊れていたのは同じく2番目のギア。
歯がえぐり取られたのも同じ現象です。


同じやり方で平ギアにピニオンギアを圧入します。


これで空回りすることなく働きます。

それにしても全く同じ場所が壊れるとは!
タイマーの歯がえぐられる例は以前にも何度か見たことがあります。
製造上の欠陥と言わざるを得ませんね。
メーカーにこの声が届く手立てはないでしょうかね。

「ドキドキ!・・」の修理には別の厄介な問題があったのですが別の機会に。

2019年2月9日土曜日

ダンシングスプー 四角いギア穴

(*追加訂正記事があります)
NHK番組のキャラクターのようです。


同僚ドクターからの依頼品です。
動きません。
本来は音に反応して腰を振り腕が上下してダンスします。

ギア割れでした。
最初はピニオン割れ1個を見つけて交換して腕が動きました。
これで良しと思って組み立てたところ下半身が動きません。

チェック不足でした。
下半身を動かすギアが割れていました。見逃しでした。

四角い軸で、ギアはぱっくり割れていました。


手持ちギアの丸穴を四角に加工しました。


使った道具は三角と四角ヤスリ。


最初に軸の1辺の長さのドリル穴をあけ、四角く広げていきます。
このギアは16枚なので4方向が決めやすい。4方向にラインを引いて作業です。
コツ(と自分が思うところ)は辺を削り取るのでなく、角を三角ヤスリで作っていきます。
ある程度形が出来たら辺を整形してできあがりです。四角ヤスリはこのとき使います。



このおもちゃで不思議なのは四角軸なのにローレット加工がしてあることです。
ローレット加工の意味が分かってないです。
ローレットを削り取ってギアを嵌めます。軽く入る程度でいいです。

このあとまだ難関がありました。
リード線が固くなっていて途中で次々と切れました。交換です。
それはいいとして、最後に組み立てて動かすと声をかけると動き始めますがすぐ止まります。声(あるいは歌)をかけ続けると動き続けるおもちゃかとも思いましたがネットで本来の動きを調べました。
最初の声掛けで音楽が鳴りその音楽に合わせてダンスします曲が終われば止まります。
困りました。ICが壊れているか?とも思い始めたときふと思い出したことが・・
ハンダのフラックスは古くなると導通が発生するということです。
すがる思いで基板をアルコールで拭くと・・復活しました!
リードさ線が次々切れたときにその都度使ったフラックスが邪魔をしていたようです。

ほっとして返却できました。

<追加>先輩ドクターから問題点の指摘がありました。
    穴の角を上のように90度に仕上げると強度が落ちるというものです。
    力が一転に集中するということです。
    強度を持たせるには角にわずかなRを付ければよいとのことです。
    つまり、角にあらかじめドリルで小さな穴をあけておいてから加工するという 
    ことです。
    そういえば、板の割れをそれ以上広げないために割れの末端にドリルで穴をあけ
    ますが、それと同じことですね。