2021年1月29日金曜日

タカラの青いことり

 おそらくルリビタキです。

本来は手を近づけると体、首、くちばしを動かしながらさえずります。

中年の男性が持ち込んだのですが、話を聞くと85歳になるおばあちゃん(お母さん)のために直してもらいたいのだという。そういうのを聞くと気合いが入ります。

動かない原因はギアの歯こぼれでした。素材が劣化しています。


モジュールは0.25! 光造形の3Dプリンターでチャレンジです。歯数をオリジナルの28枚にするとギアが滑ります。29枚、30枚、さらにはm=0.26と試したのですがどうにもうまくいきません。

結局は歯数30でヤスリを掛けながら径を小さくしてなんとかできました。2日がかりでした。使ったヤスリは目立てヤスリです。


これは失敗作の一部


できあがった状態


何とかなってほっとしました。

85歳のおばあちゃんと家族が喜んでくれるといいのですが。


2021年1月23日土曜日

ゼンマイでブルブル震えるトーマス

 走るのではなく震えるのです。

紐を引けなくなったとのことです。

縫い目は運転台の後ろの角です。

ムーブメントを取り出してみると紐が巻き付くリールが割れてゼンマイに力が伝わりません。(写真右側)


3Dプリンターで作製します。左右を作って嵌め合わせます。


直りました。これでまた遊べます。






からくり人形 茶運び童子

 学研大人の科学で発売されたシリーズの一つです。裸で失礼します。



うまく動かないという訴えでした。

動かしてみると途中でギアが歯飛びするときがあります。ゼンマイが空回りします。

ゼンマイのラチェット部分かと疑ってハンドルとギアの位置をマジックでマークして

様子を見ると、空回りしてもずれが生じません。つまりゼンマイ機構内部ではなさそうです。

よく見るとギアのかみ合わせが甘くて「なめる」ときがあります。かみ合わせを強くするにはどうするか?

軸の位置はしっかり固定されているので問題なし。結局端数を増やしたギアを作ってかみ合わせを強くすることに。

写真の白いギアがオリジナルの12T。灰色が交換した12Tです。直径が大きくなっているのが一目瞭然です。

これで歯滑りがなくなりました。

動きの点検をしていて、戻るときの角度調整がうまくいかないことに気がつきました。
戻りは股のところのタイヤが動くのですが、動かす時間(角度)を決めているのが大きな円盤に付いたカムです。板をネジ止めして弧の長さ(時間)を調整するのですが最大にしても回りきらないので、プラ板を貼り付けて調整しました。

よくできた仕掛けです。
他に弓引き童子というもっと複雑な人形もありますが、いずれも今は、残念なことに販売されていません。





2021年1月12日火曜日

プラレール 2両目動力車タイプ2004

SLで石炭車つまり2両目が動力車のタイプです。

初めて見たプラレールのムーブメントでした。2004とあるので古い物です。


分解するにはビス3本を外しますが片方に2本、反対側(スイッチを止めている)に1本です。上の写真は2本、下は1本が写っています。


    
ギアボックス内

小さなバネを見失いやすい

モーターの外し方。電池ケースの底板がスライドして外れる。
写真では電極金具の一方が外されているが、本来は必要ない。

今回の故障の原因はモーターの固着でした。強制駆動で動き始めたのでよしとしました。

もう一つは連結機の破損です。交換パーツとして売られている物とは少し形が違うので細工します。破損した物と通常の物を削って組み合わせます。
まずは出来上がりから


通常の物を加工

故障品を加工

2つを組み合わせて瞬間接着剤で補強すると最初の写真のようになります(再掲)

このタイプの連結機も交換パーツとしてトミカから販売されていたようですが今は在庫なしとなっています。ネットでは見つけることができます。結構高値が付いています。
























2021年1月4日月曜日

くすぐりエルモ 脚の動きの仕組み

 くすぐりエルモというおもちゃがあります。



どうにも不思議でわからない動きがあってずっと気になっていました。笑い転げるときにじたばたするのですが、そのとき左右脚が逆回転する動きです。

それは脚を同時に前後に動かす(左右の脚が逆回転する)にもかかわらず脚を動かすモーターは1個、ギアボックスには左右脚を同時に逆回転させる仕組みはないのです

今回じっくり観察するチャンスがあって、ようやく仕組みがわかりました。

正確には主軸を逆回転させているのではないのです。ギアボックス下部のバーを働かせていたのです。右脚が主軸に対してフリーなのがミソです。

じたばたの動きの時、

①上腕部のカムによってレバーが下がります。それにより主軸下部のバー中央のボールが固定されます。

←レバーによってボールが固定された状態

②主軸の回転はバー左脚側を押します(図の緑色)

③そしてこのバー中央のボールを支点にして左右逆の動きになります(図の緑色)。すると左右脚中心を支点にバーが脚を逆回転させるのです。右脚は主軸からフリーなのでそれが可能です。

④このとき右脚側のバネは左脚と同じ方向に回転しているので、右脚はバネを広げながらの動きになります(図の緑色の点)。

腰を折る動きの時にはレバーが引き上げられてボールはフリーになり、バーは平行に動くことができるようになります。(つまり両脚同じ動きをする)



←レバーが移動し、ボールがフリーになっ た状態







設計した人のアイデア力に拍手です。