2019年9月20日金曜日

ドイツ製ブリキのおもちゃ

ビリヤードをするゼンマイおもちゃです。

男の持つキューがセットされた球を撞くと微妙なV溝をころがり左の穴に入ります。












球は回転する赤いローラー内に落ちて持ち上がり、セットする場所にころがっていきます。

そこにはわずかなへこみがあって球がセットされます。
いずれにしても微妙な勾配をうまく利用しています。



ドイツ製でした。


不具合はゼンマイが巻けないというもの。
原因はゼンマイの内側端、軸に巻き付く部分が折れて空転していました。
残ったゼンマイの端を曲げて軸にセットしようとしたところすぐに折れてしまいます。
次々に曲げても同じ状態です。
どうも素材が悪いか焼きなましが悪いかどちらかです。ドイツ製なんですけどね・・
端から数㎝を捨ててまげて大丈夫なところを見つけてセットしなおしました。
ところが今度はゼンマイが戻るとき途中で空回りです。ギアが滑ったような状態です。

原因を探るためにはギアボックスを取り出さなければなりません。


ハンダでしっかり止めてあるのでやむなく脚を切り離しました。材は真鍮でした。
(写真は修理後 つないだ後)
原因は最初の修理でギアボックスを組むとき隙間から固定爪を曲げざるを得なかったため緩く、そのためギアがずれて噛み合いが外れる状態でした。
ギアボックスの板を修正し、しっかり固定すると空滑りはなくなりました。
切った脚の固定です。パイプになっていたので中にピンを通して固定しました。

塗装が傷みましたが動きは復活です。外観の傷みは当然事前了解を得ています。

ハンドルも紛失していて、有り合わせの金属ブロックを加工して四角シャフトに合うように作りました。四角穴があいていたのですが大きいのでリン青銅板を当てて調整です。



なんでも1万円と言われたのを動かないというので1000円で手に入れたとか。
でも、修理費はゼロです。私は売買には関知しません。自分のスキルアップと面白いおもちゃに出会うのが楽しみなだけです。その上お客さんに喜んでもらえると何よりのぜいたくです。

2019年9月13日金曜日

オルゴール

古いタイプのオルゴールです。


ゼンマイを巻いてもくるっと戻ってしまうため巻けないという症状です。

観察すると香箱の下部から覗いているギア(ゼンマイの軸の下部に取り付けてあるもので、ドラムの笠歯車と噛み合う)の歯がすっかり摩耗しています。これでは空回りしてしまいます。
交換です。

まず、ドラムの軸受けを緩めます。
・・通常はねじ込んであるので緩めればいいのですが、これはかしめてあります。
(写真は緩めた後の状態)

タガネを自作してカシメを緩めます。


打ち込んで緩める。


ドラムを外した次は香箱を外します。カシメをドリルでさらって外せます。

で、また難問です。
新しいものは下部のギアだけを外せますがこれは一体になっていてそっくり交換です。
ぜんまいと軸のセットを香箱から外し、さらにゼンマイからも外します。
ちょうど手持ちがあったのでよかった。
左は歯が摩耗したもの、右は交換用。


シャフトの頭にはねじが切ってあってパラソルをねじ込むようになっているので、交換用にも同じ加工をします。ねじは1.4mmでした。

組み立て前に固着したグリスを洗浄します。ゼンマイにへばりついたオイルも固化していました。このままではギア交換だけでは動かないでしょう。
分解と逆手順で組み立てて終了です。
それにしてもきれいに着色してあります。

2019年9月8日日曜日

IC不良と断ずる前に

歩行器のようなものの上に付けるものです。


スイッチを入れても全く反応がない(音が出ない)。
電池チェック、スピーカーチェック、スイッチチェック、基板への電力供給はすべて正常でした。
基板はこんな単純です。


これはもうICしかないなと思ったとき、ふとICに電圧は供給されているのか疑問に思いました。
電源ラインをたどってみます。
すると、ICの足のうち3、4,6番が裏側を通っていてつながりが見えません。


テスターで導通チェックすると確認できました。
電源供給ラインは3番につながっているはずとわかりました。
その電源ラインの導通だけがありません。
IC裏の見えないところで切れています!


3番に直接電圧を供給すると音が鳴りました。
そこで、ジャンパ線で3番端子と電源ラインを直結し無事修理完了です。

2019年9月5日木曜日

シャボン玉を出すバズ

このバズは頭からシャボン玉を噴き上げます。
初めて見ました。なんでもアメリカのディズニーランドで買ってきたものだとか。


ところが1回使ったらもうシャボン玉が出なくなってしまった。
チェックすると、まず頭から風が出ている。
シャボンを入れるのはすねの部分でここにあるパイプから吸い上げていない。

分解してメカにたどり着くとシャボンを吸い上げるメカがありました。
人工心肺で見るタイプです。回転する一対のローラーがゴムパイプを押さえつけながら回転し液体に圧力を加えています。
(これは修理後の写真)

よく観察すると問題が見えてきました。
ここです。


ケースがパイプを噛みこんでいます。これは製造時のミスですね。
これでは十分に流れません。
本来通すべきところにはスペースがあけてあるのでそこに通しなおします。


これでよく吸い上げるようになりました。

この他に水のおもちゃに定番の錆がスイッチに出ていました。
ここは接点復活剤で対応しました。

使った後横にしない方がいい、余分な液はふき取ることをアドバイスしました。