2024年6月7日金曜日

ボーネルンドのモビール

 ボーネルンドのモビールです。錘が多数外れた状態で持ち込まれました。数十年前のもので施設で飾られていたのですが紐が次々に切れて壊れてしまいました。こどもたちにとても人気があったもので思い出もあるものです。メーカーに相談したところ、ドイツ人の職人さんが既に亡くなっていて修理できる人がいないと体よく断られたそうです。費用がかかってもいいからどうにかしてほしいと頼まれました。どこに何が付いていたのか不明で最初は途方にくれました。

まずはバランスと考え、一つ一つの錘とバーの重さを測り、長さを測って計算で出そうとやり始めたのですが微妙すぎてうまくいきません。どっと疲れてしまいました。

次の手はモビールをつるして、錘をかけながらセットしていく方法です。行き当たりばったりでうまくいくのか自信が無かったのですが、結局はこの方法が正解でした。

全ての錘に糸を通して輪にし、ぶら下げられる状態にします。そしてバーは全て取り付けます。

上からセットしていきます。1のバーの左側は壊れていなかったので、右側に残り全部がぶら下がると仮定し、ここは両方の重さと、支点からの長さで計算しました。残り全部が右側に来ればよいことがわかりました。

次に2のバーです。ここからは外れた錘を取り付けながらバランスが取れる組み合わせを見つけます。錘の数も考えながらです。色は後で交換できるので無視です。

そんな風にして順に下の方へバランスを取っていくと、写真の様な組み合わせでほぼバランスが取れました。白く見えるのが仮付けの糸です。


この組み合わせで、彩りよく見栄えよく錘を固定していきます。錘の間隔を決めるのに難儀しました。かがんで作業したため背中が痛くなりました。

できあがったのが下の状態です。一カ所だけ支点の位置を少しずらしてあります。


以上


バズライトイヤーの翼が

 比較的新しいバズライトイヤーです。片方の翼が閉じなくなった。翼の先端のライトが点灯しなくなったという症状です。

翼が閉じないというのは定番のロック爪折れでした。裏からL型の当て板を接着して補強しました。完全な直角ではないため充填が必要で、プラリペアを使いました。


翼先端のライトは、まずそのままで出ている端子に電圧をかけて点灯の有無を確認します。点灯しなかったので、翼分解です。赤白のシールを合わせ目でカットします。隠しネジもあるためベンジンを使ってきれいに剥がします。開けると負荷のかかる場所できれいに断線していました。かろうじて見えていた線を引き出してハンダで繋いだのですがすぐに切れて(折れて)しまいました。線を出すために翼の先端半分をさらに分解する必要があったのですが、接着が広く強固なため諦め、方針変更です。線が切れた部分の翼を切開します。線が見えたところで、点灯チェック。無事点灯しました。新たな線を繋ぎ直します。引っぱられても強いようにちょっと一工夫です。
オリジナルの線の取り回しは遊びがありませんでした。そのため翼が動く度今回の切断部分が折れ曲がり、疲労切断となったと推測しました。そのため、スペースを見た上で、折れ曲がりが生じないよう取り回しを写真の様に工夫しました。

バネのセットは写真の様にします。

以上







2024年6月3日月曜日

クレーンゲーム 鎖のセット方法

 クレーンゲームで鎖がプーリーから外れたり、切れて元の長さがわからないような場合に元の状態に戻す際のポイントを分析しました。このクレーンゲームの場合で考えてみます。(3月17日の記事の関連記事です)


1,本体側(どちらが上昇と下降プーリーか?

   1本のシャフトに2つのプーリーがセットされています。片方はシャフトに固定、他方はシャフトからフリーです。固定の方が上昇用、フリーな方が下降用です。(なぜそう言えるかは4の説明からわかります。)

   参考:下降用プーリーにはブレーキが付いています。


   

   このクレーンゲームではコマを押しつける形ですが、他に板を押しつけるものやトルクリミッターと同じ仕組みのものもあります。写真ではどちらにも「ブレーキのようなもの」が付いて見えますが、上昇用(写真左)のは鎖の脱落を防ぐための押さえです。ブレーキではありません。

2,バケット部分の鎖のセット方法(2つの穴のうちどちらが上昇、下降側かの判断

   上昇=バケット閉じ 下降=バケット開く というようにシンクロしています。

   上昇時は上昇鎖に張力がかかり、他方は緩みます。下降時は下降鎖に張力がかかり、他方は緩みます。そうやってシンクロさせています。(切り分けの仕組みは4で説明。)

  1バケットが開閉する仕組み

閉じるとき:鎖aに張力がかかり、鎖bは緩んでいる。すると、図のようなバランスを取ろうとするためバケットは閉じる。(下図は右側だけを抜き出して表示)

   開くとき:鎖aは緩み、鎖bに張力がかかる。すると今度は下図のようなバランスを取ろうとする ためバケットは開く。(下図は右半分のみ)


 2このクレーンゲームの場合の決め手

     下側の軸をつり上げるための穴がある。こちら側が「閉まる時=上昇」の際に張力がかかる方である。(上昇用の鎖がセットされる)

3プーリーの回転方向の確認

   電源を入れ、レバー(ボタン)を操作して回転方向を確認します。これは4で説明するツメの噛み合わせ方を決める際に必要です。

   このクレーンゲームでは写真の方向です。(時計回りが上昇、反時計回りが下降)従って鎖の垂れ方下下図のようになります。

4,2つのプーリーのツメの噛み合わせ位置

   バケットの「下死点」状態でセットするのだが、ツメの噛み合わせ位置は次のように2通りあり得る。どちらが正しいのか?


   (1)結論を先に言うと、a,bのプーリーが鎖を解いた状態(下死点)で、ピン位置が下図のようになるようセットします。

    (2)何故そう言えるのか?

上昇下降と張力の分散の仕組みを見てみます。 

①上昇(& aの鎖に張力)時のピンの位置

  プーリーと鎖


上昇時のピンの噛み合わせ位置


②上昇から下降に転ずるとき(上死点)

プーリーの回転方向が変わるとともに鎖の張力がbの鎖に移る。このときピンの動きとブレーキがカギとなる

      ③下降時 上の図の(3)の状態が下降時の状態

       ④下降から上昇に転ずるとき(下死点)

プーリーの回転方向が変わるとともに鎖の張力がaの鎖に移る。このときもピンの動きとブレーキがカギとなる

      ⑤セットの仕方(再掲)

       上図①aの鎖が解放された状態(下死点)で、ツメの位置関係が(1)の状

態であればよい。

5,鎖の長さ

  鎖が切れていて、元の長さがわからないような場合は、鎖全体の長さを調節する必要があります。

  まず上昇用鎖の長さを決めます。下死点で鎖に2コマ程度の余裕がある長さとします。

  次は下降用。上昇途中の状態で鎖に2コマ程度の余裕があるようにします。(単純に2コマ長いという意味ではなく、バケットが開かない状態でという意味です)参考までにこのクレーンゲームでは写真の程度の差でした。

 


<以上>