2024年12月29日日曜日

エポック社 UFOクレーン

 1990年の刻印があるエポック社のクレーンゲームです

仲間のドクターから再修理の依頼でした。
問題はバケットの動きでした。まず①バケットが上まで上がらない ②バケットがうまく開閉しない でした。
①は動きが止まり、カチカチ音がするのでトルクリミッターが働いているようでした。中を見るとこのような仕組みです
問題は上昇下降リミット用のギアのセットが間違っていました。このギアはハの字型のツメがあり、ボディの壁に当たって止める役割を果たしています
これが上死点下死点で壁に当たる様にセットすればいいわけです。

バケットの上下動と開閉の同期の仕組みは 2024/3/17と6/3 の記事で書いています。
要するに2つのリールのツメの噛み合わせを正しくセットする必要があります。このクレーンゲームではトルクリミッターの上にあるピニオンギア(と上下動リミットギア)を外した状態で、手回しでバケットを上下させ調整すると楽です。上がるとき閉じ、下がるとき開くようにします。

これで問題点は解決したのですが、下降時に途中で一瞬バケットが閉じる時がある。
調べると原因は写真左側リールにかけるブレーキの押しつけ圧が弱っていました。ブレーキの位置を変えるため柱を少し削り、プラ板を間に入れて調整しました。
これで動きが正常になりました。

裏側にこのような刻印がありました。made in JAPAN 1990年はまだ健在だったのですね



以上











2024年12月27日金曜日

コロコロメロディバス



 よく持ち込まれるおもちゃです。


タイヤ外しとビス位置がポイントです。
まずビス位置
ボディは2つに割れますがビスは裏側に5カ所(見える位置)、そして表側(タイヤの裏側に隠れている)に2カ所です。なのでタイヤは表側の方を外す必要があるのです。


(「裏側」は表側のまちがいです)

私はうっかり裏側を外したため表側はタイヤに穴をあけることになりました。表側タイヤを最初から外しておけば不要でした。
(「裏側」は表側のまちがいです)

片側タイヤと合計7本のネジを外すとボディが割れます。運転席は2つのボディで挟み込むように固定してありますから、ボディを割るのが先です。

次にタイヤ外し
表側のタイヤを外すというのが第1。
そして、ローレットがガッチリ長く切ってあり容易には抜けないのが2。

後輪はビス穴をあけ、そこにタッピングビスをねじ込んで外せます。

前輪は壁が薄いため上の方法は使えません。下穴を軸の所まであけ、そこに先端のフラットな半田ごてで軸を温めながらタイヤを持ち上げ抜く方法を取りました。熱で他の部分にも影響が出るため、熱容量の大きい半田ごてを使い、タイヤを持ち上げながら熱を加えます。すっと動く瞬間がきます。うまくすると他に影響なく、タイヤもそのままシャフトに戻せるようになります。緩いときはエポキシで。

最後の穴埋めはホットボンドの黄色を使います。
表面は最初は汚いですが、ドライヤーの熱を当てると滑らかになります。


以上













無茶なクリスマスツリー 残念な修理

 
高さ30CMほどのクリスマスツリーがドームの中に入っていて、中でファンが回って雪を吹き上げる飾り物です。地面には列車が走っていてドームのヘリを雪を蹴散らし巡ります。

雪を吹き上げなくなったとのこと。試してみると時々思い出したように弱々しく吹き上げるだけです。結論的には設計不良で修理不能でした。こんなものが世に出ているのかとあきれました。

分解すると、シロッコファンでした。ところがどうもおかしい。

ファンは反時計回りに回る。フィンの角度を見るとドーム側から空気を吸い、手前側に吹き出すことになってしまう。これでは吹き上げない!お客さんは吹き上げていたと言うのですが、空気の流れが乱れて、おそらく時々弱々しく吹き上げる程度だったと推測します。
モーターの回転方向を逆にすると風の流れは逆になるが、壁面の形が違ってくるためスムーズに吹き上げることが出来ない。壁面のつくりはファンの左回転でドーム側に吹き出す形になっているのです。
フィンの角度は変えられないため、モーターを逆回転させることに。
ドームへの風の出口をそれに合わせて変更です。
しかし、結果的には壁面の形は変えられないため雪を吹き上げることは出来ませんでした。
この飾り物は設計ミスと言わざるを得ませんでした。

この飾り物は他にもいい加減な点がありました。基板にプリントされているのが間違っているのです。「LAMP]にモータ-を、「MTR2」にランプを繋ぐようになっていました。

返却時、設計自体に問題があることを説明したのですが、お客さんは「前は吹き上げていた」のを見ていたため、説明にはちょっと難しいものがありました。









2024年12月6日金曜日

カーズ V8カフェ

 というのだそうです。これはマテル社のもののようです。こんな状態で持ち込まれました。お客さんが分解して最後にさじを投げたとのこと。線もはずされ、写真にないパーツもたくさんあるし、元の状態を聞いてもはっきりせず、お断りしたい気分半分で引き受けました。


パズルを解くようにして組み上げました。液漏れが酷く、錆びたネジを無理したようでねじ切れていました。それが一番苦労しました。オイルを浸透させ、ネジザウルスで挟み、半田ごてで時々ネジを温めながらなんとか取れました。LEDも一部錆でやられていて交換です。



できあがって灯りを付けました。思ったよりきれいで癒やされました。断りたかった気分も飛んでいきました。(*よく見ると車のエンジンがモチーフになってるのに気づきました。ピストン、コンロッド、エンジンヘッドカバー、バルブスプリング、エアクリーナー、他にも何か見つかるかも。楽しいですね。)

さて、お客さんはどんな反応をするでしょうか?

 以上




2024年12月3日火曜日

形見のおもちゃ

 年配の男性が 手のひらに乗る大きさのひよこのおもちゃを持ち込みました。ゼンマイを巻くと両足をカタカタとはじくようにジャンプして動くのですが、動かないとのこと。是非直してほしいと言われました。

定番のラチェット部が割れていました。たまたま接着で実用的な強度が出たのでそれでお渡ししました。

引き渡しの時、その方がとても喜んだ様子で、娘さんの仏壇に飾りますと言いました。えっと思って聞いてみると、つい先頃50歳で亡くなったそうです。49日を過ぎたが納骨する気になれず手元に置いているのですと言うではありませんか。なくなった事情はわかりませんが、生きているうちにもっと話を聞いてやればよかったと自分を責めている様子でした。このおもちゃは娘さんが子どものころから好きだったもので、動かなくなって久しかったそうです。動く状態にして仏壇に飾れてよかったとほっとした様子でつぶやくように語りました。

切ない気持ちになってしまいました。

気持ちに整理が付き、今の状況を受け入れられるようになることを願うばかりです。

堀川玩具 ブリキロボ 火星大王


 レトロなおもちゃです。堀川玩具というメーカーのものです。


こんな動きをします。


1つのモーターで上半身の回転と歩行を担います。
切り替える仕組みは、ピニオンギアが上下して上半身回転用平ギアと歩行用平ギアに交互に噛み合います。
ピニオンギアの上下は歯数の違う平ギアを組み合わせ、三角の突起でギアを動かしています。イワヤの犬に使われているのと同じ仕組みです。

不具合は、歩かないという症状でした。
原因は歩行用ギアのカシメが緩み下に「落ちて」いたためピニオンギアが届いていなかったのです。
シャフトに固定用のパーツを取り付けてギアを正常位置にしました。それで無事動くようになりました。

ついでに、胸が開くのは銃座のロックを外して胸のカバーを押し開くというものです。

背中にしっかり「made in japan」と印刷されていました。今見るとちょっと誇らしげです。